オリエンテーション
面接後ボランティア候補生として選ばれると電子メールにて採用の決定とオリエンテーションの通知が来ます。オリエンテーションの内容と説明は箇条書きですが下記の通り。
①自己紹介
人数分の小さな紙が配られました。異なる自己紹介の方法が書いてあります
その指示に従って自分のことについて2分間で紹介をする
名前、職業、自分について変わっているところ、面白いところ、将来の夢等
②スケジュール
トレーニングは6週間
クラスは週一で3時間(私達の場合は毎週木曜日の午後6時から9時まで)
その週のクラス前日までにオンラインで自習・課題を提出
クラスを欠席するとその分は次回のトレーニングでキャッチアップしなければならない。トータルで18時間のクラスを全て終了しない限り次のステップへは進めません
③裁判の傍聴
トレーニング期間中にトータルで8時間また5件以上の子供に関する裁判の傍聴をしなければならない
時間数が到達しても5件分傍聴しなければ条件は満たさないものとする
基本子供に関する裁判は毎週月曜日と水曜日
午前9時から午後12時または午後1時から4時まで
親権剥奪の裁判は金曜日のみ
ビジネスタイプの服装。ノースリーブ、短パン、サンダル等での入廷は不可
私語厳禁。携帯持込禁止
裁判官が裁判官席に座っている間は退席不可
④活動日誌
トレーニング開始時より活動日誌を作成する
活動日誌はCASAの仕事開始後も記入・提出が求められる
日時、活動時間、活動内容、運転距離等を記す
※アメリカではボランティア活動が税金還元の際に反映されるのでこの日誌を国税庁に提出できる
⑤クラスでルールを作成する
オリエンテーションの中でトレーニング参加者によって下記のルールを作成
時間を守る
課題をきちんと行う
リスペクトしあう
意見の異なる人を否定しない、ジャッジしない
クラスに積極的に参加する
④トレーニングの中での目標を設定する
子供への接し方、彼らの目線になることを学ぶ
子供の代わりに主張できる方法を学ぶ
裁判のプロセスを学ぶ
世話をする人(ケアギバー)と保護者・親権者の違いを学ぶ
変化をもたらす方法を学ぶ
CASAになる準備を行う
ルールやポリシーを学ぶ
これらのことをアットホームな雰囲気の中話し合いました。
これからトレーニングを受けるクラスメートとして
またCASAとして一緒に働く為にお互いを知ることから始めます。
採用面接
採用面接試験についてです。
採用といってもトレーニングを受ける資格があるかどうかという段階で
正式にはトレーニング、試験、インターン等と終了しなければCASAにはなれません。
面接時間は30分。
自己紹介
経歴紹介
なぜCASAになりたいか?
過去のボランティア実績
子供と遊ぶとしたらどんな遊びをしますか?
自分自身の過去において虐待、育児放棄その他の家族問題を経験したことがあるか?
以上のようなトピックを聞かれます。
面接者は心理学・行動学に長けているCASAの職長で、上記の回答内容やコミニケーション力のみならず、申込者の目線や態度から誠実さ、謙遜さ、確かさなど人格的な部分をこの30分の中で判断していきます。
これらはCASA組織の為、裁判所の為ではなく、あくまで被害者である子供達にとって申込者が最適であるかどうかという一理のみを問い進められます。
推薦状について
CASAのボランティアに申し込みをする際には、家族以外で21歳以上の成人4人からの推薦状が必要となります。推薦人が下記の用紙に記入し直接CASAオフィスに送付しなければなりません。申込者は内容を確認することはできません。
<推薦状書類の内容>
推薦人の名前、住所、連絡先
質問1 CASA申込者をどのくらいの期間知っていますか?
質問2 どのような関係ですか?
質問3 総合的に判断して申込者の性格はどうですか?下記から選んでください。
友好的、不親切、内向的、常識的、積極的、引きこもっている、距離がある、物静か、情熱的、対話的
質問4 協力性 大変良い、良い、悪い、大変悪い
質問5 信用性 大変良い、良い、悪い、大変悪い
質問6 信頼性 大変良い、良い、悪い、大変悪い
質問7 他人を理解する力 大変良い、良い、悪い、大変悪い
質問8 自分に自信があるかどうか 大変ある、ある、ない、全くない
質問9 読み書きを含むコミニケーション力 大変良い、良い、悪い、大変悪い
質問10 下記から申込者について当てはまるものを全て選んでください
支配的、リーダー的、孤独派、積極的、短気、従順、意固地、劣等的、協調性、打ち解けない、協力的、傲慢、思いやりがある、頑固、楽観的、臆病、悲観的、断言的、うぬぼれ、自信家、その他あれば記入
質問11 申込者が問題を解決したような場面があれば説明してください
質問12 申込者は一年間の活動にコミットできると思いますか?はい いいえ(理由)
質問13 知っている限りで申込者にアルコールやドラッグの問題があると思いますか?
質問14 あなたの知るCASAの役割の上で、申込者をCASAに推薦しますか?
その他申込者を評価できる具体的な例があれば書いてください。
質問やその他相談項目があればCASAオフィスまでご連絡ください。
ご協力ありがとうございました。
申し込み用紙
CASAへの申し込み用紙
<個人情報>
日付、名前、住所、電話番号、メールアドレス、緊急連絡先
<雇用状況>
雇用主、雇用形態、勤務年数、勤務先住所、勤務先に連絡可能か否か、仕事内容の説明
質問:里親の経験がありますか?児童相談所に勤務したことがありますか?
<学歴>
どのレベルまで終了したか、マルをつける
質問:現在学校に通っていますか?CASAのボランティアによって単位を受理する予定ですか?外国語が話せますか?話せるなら何語を話せますか?
<活動内容>
質問:一年間のボランティアにコミットできますか?一週間に何時間ボランティア可能ですか?CASAは配置されたケースの裁判の傍聴が義務付けられています。出席可能ですか?一週間のカレンダーの中で活動可能な時間帯にマルをつけてください。活動できない曜日はありますか?交通手段は確保されていますか?運転免許を保持していますか?特に担当希望の年齢層はありますか?はいの場合、年齢層を記入。
<推薦状>
各推薦人の情報を記入する。氏名、住所、電話番号、申込者との関係
<その他下記の質問に回答を記入>
逮捕歴がありますか?ある場合は理由を記入。
過去に児童相談所の捜査を受けたことがありますか?ある場合は理由を記入。
CASAのプログラムをどこで知りましたか?
なぜCASAに応募しましたか?
CASAのボランティアを通して何を得たいと思いますか?
今までのボランティアの経歴があれば記入してください。
あなたの子育てや親の子供に対する権利と責任についての考えを書いてください。
問題を抱える家庭を再構築するにあたり社会が貢献できることは何ですか?
子供にとって最善の方法を見出す為にあなたはどんな知識や経験をお持ちですか?
ボランティアをするにあたりあたなの心構え、知識、趣味や特技を教えてください。
自身について経歴・履歴をまとめて記入してください。
※最終のページは宣誓書です
申し込み内容に虚偽がないことを誓い、CASAオフィスがバックグランドチェックを行うことを許可しますという内容になります。
CASAになるためには
CASAになる為の資格:
一番大切なのは子供ののこと真剣深刻に考えることができるかどうかです。ボランティアは21歳以上の大人に限り、文章的能力と社会的言語能力を持ちコミニケーションに長けているもの。学歴は特に問いませんが、裁判所とのやり取り・文書の取り交わしが多くありますので、高校卒業以上程度の学力が必要です。配置されたケースの全ての裁判に出席可能で最低でも一年間の活動にコミットできる方。人格的に優れており客観的で一方的に判断するようなジャッジメンタルでないこと。
CASAになる為の条件:
下記のものを定められた期間内に提出・終了したものをCASAと認定する
・履歴書・申し込み書
・採用面接
・家族以外から4人の推薦状
・警察署からの犯罪歴照合調査表
・指紋登録表(CASAオフィスにて)
・ケーススタディを含む合計40時間のトレーニングへの参加
・8時間の裁判傍聴トレーニングへの参加
・インターンシップ(個人に合わせて)
・最終試験・最終面接に合格
・裁判所での宣誓
CASAの役割
「はじめに」でも記述しましたが、CASAはアメリカ合衆国において「Court Appointed Special Advocates」の頭文字を取った呼び名で、裁判所により特別に任命を受けた調査員という意味を持ちます。
CASAの役割として最も大切なのは「子供にとって安全に生活できる場を永久的に確保する」ということです。
親元であっても、児童相談所を介した施設又は里親の保護下でもあっても、子供達が安全且つ精神的又物理的にも安定した生活が確保できているかどうか、彼らの目線から調査し裁判所に報告する任務を担います。
裁判が始まりCASAのオフィスに任命状が降りると、通常1名のCASAがそのケースに配属されます。その活動は法的に守られ、あらゆる情報を入手できる調査権が与えられます。警察や児童相談所からの告発状・逮捕状、事情聴取に関する書類、メディカルレコード(カルテ)等から状況を把握し、実際に被害者とされる子供、親、その他の家族や近隣者、児童相談所の担当者、ソーシャルワーカー、セラピスト、カウンセラー、学校や保育園の関係者などと面会し、判決に向けて子供にとって最も良い対応策を裁判所に推奨していきます。
裁判は半年から長くて2年間の期間を要します。審理、公判から指示された要求を保護者や児童相談所が満たしているか確認したり、子供と保護者の面会時間などもCASAが調整します。また何より子供達を定期的に訪問し、メンタル、学業、成長の過程を確認するのも重要な役割となります。このような活動により、CASAから裁判所へのレポートは判決へ向けて大きな影響力を持つ為、事実に基いた的確な判断が求められます。
重複してしまいますが、CASAのホームページに記載されているCASAの業務内容一覧は下記の通りです。
• 担当の子供達を定期的に訪問する。
• 子供に関する情報を出来る限り収集し、裁判所に子供にとって最適な提案を行う。
• 親権者、保護者、ケースワーカーに面会・面接する。
• ソーシャルワーカーやその他のサービスプロバイダーに面会・面接する。
• 子供の家庭・家族関係を調べる。
• ケースに関わる人々と協力的な関係を築く。
• 審議・公判用にレポートを作成する。
• 打ち合わせや裁判所の聞き取り、審議、公判に出席する。
• 必要に応じて子供の様子について証言する。
• 子供にとって必要且つ最適なコミニティーサービスを検索し情報を得る。
• 入手した全ての情報について機密を守る。
• 裁判所からの各取り決め(条件や規定)について管理する。
• 子供にCASAの役割を伝え裁判について話し合える(説明できる)関係性を作る。
• 各地域のCASAオフィスやプログラムの基準に従い指導の下で活動する。
• 地域の子供を守る。監視する。
• 最終的な判決が下るまで子供と寄り添う。
• 裁判所に子供の望むところを必ず伝える。
CASAの歴史
CASAが初めて設立されたのは1977年、場所は西海岸北部のシアトル州の小さな地方裁判所からでした。
虐待や育児放棄に即座に対応する児童相談所の権限が強まり同時に里親制度も構築されていく中、役所側と親権者の言い分のみでは食い違いが多く裁判で判断が困難になるケースが多々とありました。
実際に被害にあった子供達が何を体験しどのように思っているかを判決の参考する為、裁判所が自ら子供達より直接聞き取りを行える調査要員を設けようと、一般市民1000人にボランティアを募った動きがきっかけです。
これらの調査員により個々のケースの実態の詳細がより明らかになり、「子供達にとって」最善の対策や方針を打ち出せる結果となりました。CASAのシステムが効果的であると高評価を受け継続して実施され、また模範プログラムとして近隣から州内外へと大きく広がっていったのです。
その後1982年にNational CASAという統一機関が誕生しました。この頃には調査員のトレーニングシステムも充実するようになり、役回りについても法律できちんと取り決められ、12年後の1994年までに全米に50あるすべての州にCASAのオフィスが構えられるようになりました。
2017年現在カウンティと呼ばれる郡を中心に市町村でアメリカ全体で合わせて1000以上のCASAオフィス拠点が存在し7万6千人のボランティアがおよそ25万件以上の虐待や育児放棄のケースに日々取り組んでいます。
National CASAのホームページ
National CASA Association - National CASA - CASA for Children