トレーニング1.9続 CASAの活動におけるジレンマ
ジレンマの定義:ある問題に対して2つまたそれ以上の選択肢が存在し、どのどちらかを選んでも何らかの不利益があり、態度を決めかねる状態。
CASAの活動を遂行するにあたり、子供に対しての最善の策を考えるが故に、様々なジレンマを経験します。どのようなケースがあるか見てみましょう。また自分ならどうするか、クラスで話し合いこのような場面に備えておきましょう。
ケース1
自分の担当であるナンシーに面会に行く際に里親に電話をしました。里親は面会を承諾。しかしナンシーは数時間前に歯医者で親知らずを抜いて痛みが酷く、面会に来る途中に角にある薬局で痛み止めとお水を買ってきてほしいと頼まれました。
ケース2
15歳のジェシカは父親をガンで亡くし、母親は刑務所に入っており施設で生活をしています。他に身寄りもなく学校にも馴染めず友達もいないようです。CASAだけが唯一信頼できる存在です。数日後に誕生日を迎えるジェシカが誕生日プレゼントにその日にピザを食べに連れていいってほしいと言ってきました。
ケース3
9歳のジョンは早く家に帰りたいと願っています。ジョンの母親パメラは薬物中毒でしたが、リハビル施設を退院し仕事も見つけ住まいを探し再出発の準備を始めています。明日の裁判でジョンの帰宅が決まりそうです。パメラの最後の面会時に彼女の車の中に薬物がありました。彼女は以前のものが社内に残っていただけだと言い報告しないでくれと泣いて頼んでいます。
CASA担当者としてあなたはどうしますか?
※CASAのルールでは物を買ったり提供したり何らかのサービスを行うことは禁止されています。
※CASAは事実を裁判所に報告することが義務付けられています。
※CASAはボランティアですのでルールに対する罰則は設けられていません。
これらのケースで正解を導くことはとても困難です。常識、良心、思いやり、同情などCASAも人間ですからいろいろな感情が湧き出てきます。
一番重要なのは必ずCASAの上司または児童相談所の担当者に報告・相談するということです。
ケース1はその日の面会をキャンセルし児童相談所の担当者に連絡、薬と水を準備してくれるよう依頼しました。里親に出されている子供の親権は一時的に児童相談所にありますので、彼らならサービスを提供することは可能です。CASAはそこを繋ぐ役目を果たしました。
ケース2の場合、CASAのチームリーダーが児童相談所へ連絡しジェシカをCASAオフィスに迎えて皆んなでピザパーティを開き誕生日を祝いました。
ケース3は報告書に事実を記載し裁判所に提出。裁判官はその事実を認識、当日薬物検査を実施、結果は陰性。母親の努力を認め最後のチャンスと念を押しジョンを帰宅させました。
気を付けないといけないのは連絡・報告をしても協力を得られなかったり、解決できなかったり結果が伴わない場合の気持ちの持ちようです。ケースを与えられ担当になったらCASAの役割、できること、できないことを前もって里親や子供に分かり易く説明することも大事です。また命にかかわるような一大事や法律に触れる行為を目撃した場合は迷わず警察に通報してください。