CASA カサ

アメリカでの児童虐待や育児放棄への対応についての報告

トレーニング1.5続 最適な環境

アメリカのCASAで一番重要なのは「子供にとってのBest Interest」という理念です。

Bestを辞書で検索すると最善、最高、最上という言葉がでてきます。またInterestは興味や関心、利害と訳されます。CASAで使われる「Best Interest」のニュアンスはこれらの日本語とは少し異なったものになり、「この時点で託された選択肢の中で子供にとって最も有益と言える対策」ということを意味します。

家庭とは家族形態、収入、住んでいる地域、出身地(国)、文化や信仰などでそれぞれ異なったものであり、一つとして同じものはなく、その事実をリスペクトしなければなりません。またそれを甲乙、善悪、高低を評価するものでもありません。さらに児童相談所やCASAオフィスが常に最高の避難場所を確保することも困難です。これらの複雑な条件の中から対象者の子供にとって「最適な対策」を対象者の子供に準備すること、これが「Best Interest」の理念の解釈です。

 

ここでの「Best Interest」を対象者の子供にとって「最適な対策」と受け止め下記の3つが主軸の行動理念となります。

・安全な家庭

・永続的な場所を

・できる限り早く準備し提供する

 

CASAは常に子供の目線で子供のために何がベストか?何が最適かを考えます。両親のため、大人や学校の都合でもなく、児童相談所や社会のためでもなく、子供のため。

 

「子供のため」の指標 = Minimum Sufficient Level of Care (MSL) = 最低限のケア

 

虐待や育児放棄により子供を家庭から引き離すことはとても大きな影響を与えます。

時には子供に深刻なトラウマが生じてしまう恐れもあります。

 

アメリカの法律でも「どのような組織でも安全が確保できれいれば子供を家に残すこと」が定義とされています。

子供が家庭から引き離される場合は、上記のMinimum Sufficient Level of Care (MSL)という最低限の子育てレベルを記載した規定を満たすときのみです。

そしてまた子供が家庭に戻される場合もこの同じ規定を用い戻せるかどうかを判断する基準となります。

 

親が下記の基本的な必要事項を満たしていますか?

  • 物理的な世話 (食事、服や靴、住まい、医療、安全、保護)
  • 精神的な世話 (親と子の関連性、絆、信頼)
  • 成長的な世話 (教育、障害児への特別な支援等)

 

具体的な例:

しつけについて過去にはアメリカでもベルトで叩いたりする体罰は20世紀中ごろまで広く当たり前に行われていました。しかし21世紀の今は体罰は虐待と認識してください。体罰の与える長期的な身体的、精神的影響が明らかになった為、現代の親は「Time Out」など※罰として短時間的隔離を行うこと体罰のないしつけを実施します。

学校については不登校やホームスクール等で多様化されていますが、子供が必要最低限な社会で生きている為の知識を学ぶ機会を奪ってはいけません。医療について必要な予防接種、検診、歯や目の治療(めがね等)は最低限必要なケアの範囲です。