CASA カサ

アメリカでの児童虐待や育児放棄への対応についての報告

トレーニング1.2 ケーススタディ ブルックスファミリー

1.2

 ケーススタディ

ブルックスファミリーのケース

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 ケースナンバー 12-097542-4

児童の氏名:デシャワン・ブルックス

誕生日:3月12日

人種:黒人

性別:男子

現在の住居:里親

母親:トニ・ブルックス

母親の弁護士:サミュエル・ブルトン

父親:マイルズ・ブルックス

父親の弁護士:ジェイコブ・ベル

ケースワーカー:エミリー・パードン、ローレンス・キャリー

児童相談所の弁護士:メーガン・フラワー

経緯:

(10日前)病院から児童相談所への通報。生後2ヶ月になる幼児デシャワン・ブルックスが緊急搬送され「揺さぶられっ子症候群」を診断された。院内のソーシャルワーカーの父親に対する聞き取りによると、午後10時頃デシャワンにミルクを与えようとしたがぐったりした状態で起きなかった為救急に連れてきたという。診察したマリオン医師は激しい振動により意識が朦朧としていると即入院させ処置を行った。同日児童相談所へ通告。

(8日前)症状は回復しつつあるものの深刻な状態と判断しその他の医療検査を実施。警察権を持つ児童相談所の捜査の為退院後は一時的に里親に託されることが決定する。両親は刑事告訴を受けケースワーカーからの事情聴取を問われるも回答を拒否。

(6日前)マリオン医師は複数の検査結果よりデシャワンの容態は安定したとみなし退院を許可。同日デシャワンは里親のもとに託される。両親は揺さぶりがあったことを否定しその後も事件についての事情聴取には応じていない。父親のマイルズは現在レストランで皿洗いとして働いている。地元ではシェフとして働いていたが、引っ越してからはシェフの仕事が見つからなかった。仕事についてはストレスを感じておりただ家族を養う為に仕方が無く働いているとコメントしている。

 (5日前)ケースワーカーは母親のトニと話をすることができた。彼女は事件当日自宅におらず何も知らないと語っている。トニはコミニティ・カレッジで保育を学んでおり昼は働き夜は学校に行くという生活を送っている。

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上記裁判所は一時的に親権を両親から児童相談所へ移行しています。

次回の裁判での聞き取り日までにCASAは関係者に面会し情報収集しながらデシャワンにとって「一番最適な」条件を提出します。

 

CASAの面会から得た情報

マイルズ・ブルックス:その日は午後9時ごろデシャワンがベッドから落ちた。その際に体が大きく揺れたか、どこかを打ったのかもしれない。自ら揺さぶってはいない。母親のトニがいない間は自分が面倒をみており今まで問題はなかった。1年前に他州から引っ越してきて回りに家族や友人はいない。給与の良い仕事を探しているがなかなか見つからない。朝早くから夕方まで働き帰宅後は子供の面倒。自分が出来る限りのことは全てやっている。トニは夜間学校に行っているが、帰宅時間が遅く、たまに飲んで帰ってきたりで本当に学校にいっているかどうか疑っている。

 

トニ・ブルックス:少しでも生活をよくする為に大学をでていい仕事を探したい。デシャワンが病院に運ばれた日は自分は自宅にいなかったので何も知らない。自分はまだ若いので友達と遊びたい。学校帰りに友達とレストランに立ち寄ったりはするが悪い事はしていない。

 

マリオン医師:「揺さぶられっ子症候群」はベッドから落ちたくらいでは発症しない。強く何度も揺さぶられている。デシャワンの体にはその他虐待の兆候は見られなかった。発育状況にも問題はない。父親と母親は病院内で数回言い争いをしていた。

 

ブルックス家の隣人:ブルックス家と親交はないが赤ちゃんがよく泣いていると気にはなっていた。稀に夫婦喧嘩も聞こえる。ドラックやパーティなど悪い素行は見られない。顔を合わせれば挨拶はする。

 

その他事情を聞ける関係者はなし

 

<CASAから裁判所への提案>

・一時的な保護を見送り親権は両親のまま保留

・週一回のソーシャルワーカーの訪問

・デシャワンの育児検診を2週間おきに行う

・「揺さぶられっ子症候群」の治療及び検診を完治するまで続ける

・両親それぞれに「ストレスチェック検査」「心理検査」受けさせる

・検査結果によって必要なカウンセリングを設定する

・夫婦カウンセリングの実施

・子育て教室への参加を課す

・父親へ職業訓練所の推薦状を発行する

・3ヵ月後裁判所で二回目の聞き取りを行う

 

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このように時期を追っての対応を考え裁判所に推奨していきます